令和3年10月14日付で令和3年度の「休眠会社等の整理作業(みなし解散)」が行われました。
これはどういったものなのでしょうか。
対象会社となった場合、何も対応せずにいると知らない間に解散の登記が入っていたということになりかねません。
今回は、みなし解散の制度についてご説明したいと思います。
目 次
1.みなし解散とは
最後に登記がされてから12年を経過している株式会社は、休眠会社と呼ばれ、事業を廃止したものと考えられます。
事業を廃止した会社が登記簿上存在していることを防ぐため、全国の法務局では、毎年、休眠会社に解散登記を入れるなどの整理作業が行われています。
これを休眠会社のみなし解散といいます。
なぜ12年?
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと法律上定められており、非公開会社については、これを定款により10年まで伸長することができるとされています。
取締役の任期が満了した場合は、同じ方が再任された場合でも、登記申請を行う必要があるため、どのような会社でも必ず10年に1度は何らかの登記がされているはずです。
そのため、12年間一度も必要な登記をしていないということは、事業を廃止したと考えられるのです。
(10年から少しだけ猶予があっての12年なのです。)
2.休眠会社がみなし解散となるまでの流れ
①法務大臣による公告 及び 管轄法務局からの通知
⇩
<公告から2か月以内>
②まだ事業を廃止していない旨の届出 又は 登記
⇩
③登記官の職権による解散登記 ―公告から2か月経過後
①法務大臣による公告 及び 管轄法務局からの通知
休眠会社については、毎年以下内容で法務大臣より公告が行われ、同じタイミングで管轄法務局より通知書が送付されます。
※令和3年度の公告及び通知は、令和3年10月14日(木)付で行われています。
・最後の登記をしてから12年を経過している株式会社(又は最後の登記をしてから5年を経過している一般社団法人若しくは一般財団法人)は、事業を廃止していないときは、「まだ事業を廃止していない」旨の届出を管轄法務局にする必要があります。
・公告の日から2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、また、必要な登記の申請もされないときは、2か月の期間満了時に解散したものとみなされます。
管轄登記所からの通知書の例
法務省HPより
引用元URL:https://www.moj.go.jp/content/001352236.pdf
②まだ事業を廃止していない旨の届出 又は 登記
①の通知書の送付を受けた場合で、まだ事業を廃止していない場合には、「まだ事業を廃止していない」旨の届出を管轄法務局に対して行う必要があります。
尚、商号を変更していたり、本店を移転しているのにも関わらず、その登記を行っていないなどの理由で通知書が届かない場合にも、休眠会社は上記届出を行う必要があります。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない場合でも、役員変更等の必要な登記申請を行った場合は、解散したものとみなされることはありません。
2か月以内に上記届出がなく、かつ必要な登記申請をしなかった場合は、2か月の期間満了時に解散したものとみなされますので、必ず期間内に届出または登記申請を行ってください。
※令和3年度は令和3年12月14日(火)までに届出がなく、かつ必要な登記の申請もしなかった場合は、令和3年12月15日(水)付けで解散したものとみなされます。
届出をした場合でも、役員変更等の必要な登記申請を引き続き怠ったままであると、
翌年度再度通知がされますので、登記申請は行ってください。
尚、届出をしたり、役員変更等の登記申請を行った場合であっても、本来申請すべき時期に登記を怠っていた事実は解消されませんので、裁判所から登記懈怠による過料が科せられる場合があります。
③登記官の職権による解散の登記
公告の日から2か月以内に2.の届出又は登記を行わなかった場合、株式会社は解散したものとみなされ、登記官の職権により、以下の登記がなされます。
3.みなし解散となってしまったら
解散した株式会社は、清算手続きに入らなければなりません。
清算手続きに入ると、株式会社は清算の目的の範囲内においてのみ存続することとなり、取締役はその権限を失うことになります。
みなし解散によって解散した株式会社にはもはやなすすべはないのでしょうか?
そんなことはありません。
解散した株式会社を継続する方法については、次回の「会社の継続」コラムにてご説明したいと思います。