菰田総合司法書士法人

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所有不動産記録証明制度と名寄帳、固定資産評価証明書の違いは何?

2023.06.06

1.はじめに

花田司法書士不動産の所有者が亡くなると相続が発生し、相続による所有権移転登記(相続登記)が発生します。
所有者不明の土地が発生することを防止するため、相続登記が義務化されますが、それに伴い、2026年4月までに所有不動産記録証明制度が開始します。

この制度は、住所と氏名を索引にして日本全国どこでも所有不動産を検索・証明できる制度です。

所有不動産記録証明制度が利用できるようになるまでは、不動産の所有者が亡くなったときは、固定資産評価証明書や名寄帳を使用して相続の対象となった不動産を調査し、登記の漏れを防いでいくことになります。

 

 

2.名寄帳と固定資産評価証明書

相続登記において、名寄帳と固定資産評価証明書はどちらも相続財産を正確に把握し、登記手続きを円滑に進めるために使用することができるものです。
名寄帳の読み方は「なよせちょう」となります。
名寄帳は、市区町村長が固定資産税を課税するために作成している固定資産税課税台帳を、不動産の所有者ごとに整理してまとめた書類を指します。

固定資産評価証明書に似た書類に、「固定資産課税明細書」があります。
固定資産評価証明書が市区町村への申請によって取得できるものに対し、「固定資産課税明細書」は、年に1回、固定資産税の納付書と一緒に郵送されるものです。
「固定資産課税明細書」には、非課税の私道や農地、山林などは記載されていないのが一般的です。

相続登記の際には、名寄帳を活用することが有効なケースが多くあります。
名寄帳では、市区町村ごとに個人が所有している不動産が一覧となって記載されています。
そのため、相続の対象になった不動産を相続人が把握しきれていないときは、名寄帳を活用して、亡くなった方が所有していた不動産を調査することできます。

 

3.所有不動産記録証明制度へ

名寄帳が取得できるのは、亡くなった方が所有していた不動産がある市区町村役場です。
名寄帳は、あくまでも、請求をした市区町村にある不動産が記載される書類であるため、市区町村をまたいで不動産を所有している場合は、各市区町村で名寄帳を請求し、不動産の調査を行わなければなりません。

これに対し、所有不動産記録証明制度では、特定の者が名義人となっている全国の不動産の登記情報の一覧を、住所と氏名を索引にして、法務局から証明書(所有不動産記録証明書)として発行してもらうことが可能になります。

 

4.最後に

このように、名寄帳は相続の対象となった不動産を調査するには有効な書類ですが、最大の欠点は市区町村単位でしか発行されないところです。
所有不動産記録証明制度が利用できるようになれば、法務局から被相続人が所有していた不動産の一覧を証明書として取得できるようになります。

相続人が不動産の全容を把握しやすくなるため、登記の漏れを防ぐことができ、相続登記がされないまま放置されてしまう事態を防いでいくことができるでしょう。

 

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